皆様こんにちは!
田端南口の歯科医院、しおばら歯科医院です。
「stay home」
現在、自粛をしなければいけない中、小さいお子様から、成人までしっかりお口の中のケアが普段より大切になってきます!
特にお子様は生活のメリハリを付けにくい中、歯ブラシ習慣はちゃんと守られていますでしょうか?
そして、歯科医院に行きたくてもなかなか行けない人も多いのでは?
今回は自分でも歯周病のセルフチェックできるような項目も準備しました。
ぜひチェックしてみてください!
では、まず歯周病の原因からお話させていただきます。
~歯周病の主な原因~
歯周病の基本でまず知っておいてほしいのですが、歯周病とは細菌感染症の病気であるということです。
その原因には「菌」が挙げられます。
そして、菌に感染するだけで歯周病を発生するわけではないのです。
歯周病の本質は、「常在菌一部と宿主抵抗力のバランスが崩れることによって歯周組織破壊が生じること」です。
簡単に言うと、悪さをする菌を少なくするだけでなく、体の状態も良くしていなければ歯茎は悪くなってしまう可能性がある、という事なのです。
歯周組織は簡単に言うと歯を支えている顎の骨や歯の周りの歯ぐきのことを言います。
一概に、歯周病になるのは菌だけが原因とは言い切れないのです。
◇プラーク「菌」による原因◇
プラーク(菌の塊)は、1種類だけではなく、非常に様々な菌によって構成されています。
全ての菌が歯に付着する能力があるわけではないのですが、プラークは歯の面に付着する能力を持った菌種が歯面に定着します。
そして、歯面に付着することのできない細菌が、すでに歯面に付着している菌種と結合することのできる菌種が積み重なります。
そこからさらに、他種の菌がどんどん積み重なって状態を悪くしていくのです。
この菌の中に「レッドコンプレックス」という菌種が含まれ、歯周ポケットといわれる歯と歯茎の溝のに菌が入り込んでいくと、歯周病はどんどん進んでいきます。
◇プラーク以外による原因◇
プラーク以外にも原因はあります。
歯周病というのは、先ほどお話させていただいた通り、
「常在菌一部と宿主抵抗力のバランスが崩れることによって歯周組織破壊が生じること」です。
宿主=自分自身
自分自身の抵抗力が低いと歯周病は少ない菌数でも進行してしまうのです。
どんな原因があるのかというと主には
・生活習慣(喫煙etc…)
・全身疾患(糖尿病etc…)
・遺伝的要因(ご家族で歯周病といわれている人がいるetc…) などがあげられます。
自分の免疫が下がっていると、歯周病の進行をより進めてしまうので、特に糖尿病などの持病をお持ちの方は要注意です。
歯医者さんでの定期的なクリーニングがより大切なのです。
~歯周病の症状からセルフチェック~
歯周病かどうかは、正確には歯科医院での検診が一番です。
セルフチェックとして以下の項目で自分が何項目当てはまるのかチェックしましょう。
①起床時口の中がネバネバする。
②ブラッシング時に口腔内から出血する。
③口臭が気になる。
④普段から歯肉がむずがゆい違和感がある。
⑤歯茎が赤く腫れている。(健康的な歯肉はピンク色で引き締まっています)
⑥硬い物が噛みにくい。
⑦歯茎が下がり、歯が長くなったような気がする。
⑧前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる。
※上記の項目3つあてはまった方
油断は禁物です。
歯医者さんでの検診予防をお勧めします。
今後も定期的なクリーニングとともに正しい歯磨きを続けましょう。
補助器具などのケアグッズもこの機会に見直し、より健康的なお口の中を維持しましょう。
※上記の項目6つあてはまった方
歯周病が中等度進行している可能性があります。
早期に歯医者さんの検診の予約を取りましょう。
今後の治療についてもしっかり聞き、歯周病治療、定期的なクリーニングを継続しましょう。
※上記の項目全てあてはまる
歯周病の症状がかなり重症度まで進行している可能性があります。
検診、レントゲン撮影などを行い、ご自分の状態をしっかり把握し、
早期に歯医者さんの検診の予約を取り、適正な治療を受け、継続的なクリーニングを受けましょう。
また、できることであれば歯周病の菌検査も受けられることをお勧めします。
皆さんいかがでしたでしょうか?
30~40歳前後でチェックが多いかは特に要注意です!
もしかしたら、かなり進行しているかもしれません…。
気になるところがあれば、すぐ検診を受けましょう!
~歯周病検査・治療~
◇歯周病の検査◇
歯周病の検査は基本的には保険診療です。
歯周病菌がお口の中にどれくらいいるのかということをしっかり把握することで、より自分のリスクを知ることができます。
歯周病のリスクに応じて治療方法が変わります。
ぜひ、みなさんにも受けていただきたい検査です。
◇歯周病治療◇
まずは、お口の中のレントゲン撮影と歯周病の検査を行わせていただきます。
そこからの分類は以下の通りです。
*軽度歯周病
歯肉より上についている歯石除去がメインです。
しかし病状によっては歯肉の中の歯石まで取らせていただきます。また、歯磨き指導を行わせていただきます。
自分でしっかり磨けるようになり、治療後のセルフメインテナンスを行うことができます。
また、一人一人にあったケアグッズもご紹介させていただきます。
*中等度歯周病
歯磨き指導をまずは行わせていただきます。
加えて、徹底した歯石除去、歯肉の中に入ってしまった歯石を重点的に除去させていただきます。
*重度歯周病
中等度のかたと歯周病の治療方針はほとんど同じです。
しかし、その後歯ぐきの改善が見られなかった場合には、歯周病の外科的な治療の対象になることもあります。
また、状態によっては抜歯なども状況によっては必要になります。
参考blog:(「プラーク」、「バイオフィルム」、「歯石」の違い)
~まとめ~
歯周病について簡単にお話をさせていただきました。
歯周病というものは、自覚症状が無い状態で進行してしまします。
なので、早期に対応することが大切なのです。
まずは、検査を受けていただくことをお勧めします!
ぜひ、検診のご予約お気軽にご連絡下さい!^^
~なぜ歯の治療は時間がかかるの??~
なぜ歯の治療は時間がかかるのか?
【削って詰めて終わり…ではないのです】
虫歯の治療は、削って詰めるだけ…だと思っていませんか?
一昔前の治療方は、そう思われても仕方がないものだったかもしれません。
確かに虫歯は削って詰めれば、治ったと思えるかもしれません。
しかし、その歯は「機能回復した」とは言いがたいのです。
歯は、たとえ1本でも咬み合わせと深く関わってきます。
咬み合う上下の歯が片方でもなければ歯としての機能を果たせません。
そのため歯科治療では、削ったり詰めたりする前に周りの歯や歯肉の状態を調べ、
あなたのお口の中全体の色々な側面からの健康を考えて診療にあたっています。
治療に時間がかかるワケをどうぞご理解ください。
【悪い咬合】
歯科治療では、まず最初に土台を固めをします。
家を建てるとき、最初にすることは地ならしと土台を作ること。歯科治療でも同じです。
土台である歯を支える歯周組織に問題があれば、歯はやがて抜けてしまいます。
そこで我々は、治療を始める前に歯周病検査をし、
その上で歯石除去したり歯周病があればその治療をしたりしてお口の環境を整えます。
それから詰めたり被せたりする治療を行います。
こうしたお口の土台づくりが、最終的に治療後の口腔内を長持ちさせるのです。
【治療は咬合を考えて行います】
歯を喪失してしばらく経過すると、なくなった歯にかみ合う相手の歯は、喪失した空間に向い動こうとします。
また、喪失した歯の両隣の歯は、互いを支える歯がないので空いている方に傾き寄ってきています。
こういう場合、歯だけの治療しても、咬合は狂ってしまっているので、顎関節症や体調不良を起こす原因になる恐れがあります。
そこで、義歯やブリッジなどの治療を始める前に、
これらの動いた歯の位置関係を安定させ、先にかみ合う面をそろえる治療を行います。
~噛む時の歯の痛み。その原因4つ~
噛んだ瞬間、ズキ!っと歯が痛むことありますよね。
原因は主にかみ合わせ(咬合)の歪み、歯周病、歯の根っこに問題があるもの、頭蓋骨の中に問題があるものの4つに絞られます。
ここでは、それぞれの症状について分かりやすく解説しています。
~噛む時に歯が痛い~
歯を噛むと何だか痛むという不安を感じた方は多いと思います。
考えられる原因と治療方法をお教えしていきます。
原因は大きく分けて4つです!それでは、1つづつご紹介致します!
①咬合性外傷 (こうごうせいがいしょう)
咬合性外傷とは、わかりやすく言えば咬みあわせによる損傷のことです。
歯ぎしりや食いしばりなどによって歯に無理な過度な力が加わり、虫歯ではないのに噛むと痛いという症状が出ることがあります。
②歯周病
歯周病とは、細菌のかたまりである歯垢(プラーク)と歯石が原因でなります。
歯を支えている歯肉や骨が破壊され、悪化すると歯が抜けてしまうという病気です。
怖いのが初期段階ではほとんど症状はありませんが、炎症が進むと骨が少しずつ吸収してしまいます。
噛むと痛いという症状が出た場合、歯周病がかなり進行していると思われます。
③根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)
虫歯や打撲などによって歯の神経が死んでしまった時や、
歯の根っこ(歯根)の治療を途中で中断してしまった時、
以前治療を終えた歯根が何らかの原因で再感染を起こした時などに、
歯根の先端(根尖)に膿が溜まって、噛むと傷んだり、歯ぐきが腫れたりするものです。
④上顎洞炎(じょうがくどうえん)
上顎洞は上顎骨の内部にある空洞で、鼻の横、目の下あたりに位置します。
その上顎洞が炎症を起こすと、まるで蓄膿症と同じような症状となります。
また噛むと歯が痛い場合もあり、原因が歯からか、耳鼻科の領域かで判断を要するケースです。
~咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)とは?~
虫歯は無いのに噛むと歯が痛い事があります。この原因の1つが咬合性外傷です。
咬合性外傷とは、主に歯ぎしりや食いしばり等で歯にかかる過剰な力が引き起こす障害です。
つまり歯を支えている組織が打撲を受けたような状態なのです。
通常より強い力がかかり、歯と土台の骨をつないでクッションの役割を果たす歯根膜が傷ついたり、土台の骨そのものが破壊されたりします。
①症状
・冷たいものがしみる
・歯ぐきから血がでる
・噛むと歯が痛む
・食べ物がつまりやすい
・頭痛
・肩こり
・目の奥の痛み
・舌の痛み etc….
この咬合性外傷は一次性、二次性に分けられます。
※一次性咬合性外傷
歯や骨が丈夫で健康でも、歯ぎしりや食いしばりのような過剰な力がかかることで起こる障害の事を一次性咬合性外傷と言います。
例えば朝起きた時に、なんとなく歯が気になったり、ムズムズするような感じ、顎がだるい感じの場合は注意してください。
もしかすると寝ている間に歯ぎしりや食いしばりをしているかも知れません。
※二次性咬合性外傷
歯周病によって、既に骨や歯根膜など歯を支える組織が弱くなっている場合、普通に噛むだけでもその力で障害を受けてしまいます。
このことを二次性咬合外傷と言います。この状態で噛む力が過剰に加わると、歯周病は一気に悪化するのです。
②治療法
1.咬みあわせの調整
2.マウスピースをつけて咬合力負担を軽減する
3.高さのあっていないかぶせ物があれば外す
4.隣の歯との連結固定
治療の基本は、特定の歯に過剰な力が集中しないようにすることです。
初期段階の場合は、咬みあわせを調整することで症状が治まります。
また歯ぎしりや食いしばりから歯を守るためにマウスピースを装着する事もあります。
※先ず炎症をなくすことが大切
もし歯周病と咬合性外傷が合併している場合は、まず歯みがきによるプラークコントロールで炎症をなくし、歯周病の治療をします。
その後、高さのあっていないかぶせ物があれば外したり、咬みあわせの調節をします、すると特定の歯に異常な力が加わらないようバランスが取れます。
炎症が治った後も歯の揺れが続く場合は、かぶせ物などで連結固定することもあります。
無意識に歯ぎしりや食いしばりをしているのはストレスが原因の場合があります。
ですからその際はストレスを発散することも重要です。
また普段から食いしばらないように意識するのも大切です。
例えばパソコンを長い時間やり続けている時、無意識に食いしばっていることがあります。
また長時間運転している時もそうです。時々意識的に顎を緩めたり、また歩いたり、ストレッチなどをして体を動かすようにしましょう。
※歯の癖は中々見ぬくことが出来ない。
全体的にバランスのいい咬みあわせの歯並びなら、このような症状は出にくいですが、
きれいな歯並びでも歯に負担がかかっていることもありますので、見た目では判断できません。
また歯が丈夫で、ほとんど歯医者に行ったことがないという方でも、噛むときに過剰な力がかかると歯を支える組織が弱っていきます。
その時に歯周病になると噛むと痛みがでたり、抜歯しなければいけない状態になる恐れもありますので、過信は禁物です。
こういった咬合性外傷による症状がでないように、少しでもおかしいなと思えば歯科医院で咬みあわせを見てもらい、予防しておくこともが大切です。
~歯周病~
歯周病は感染病です。
歯の表面に細菌のかたまりである歯垢(プラーク)が付着し、その細菌が繁殖して炎症を起こし、
歯を支えている骨(歯槽骨)や歯根膜などの歯周組織が侵される病気です。
進行するとさまざまな症状がでてくるのですが、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。
ですから歯周病が原因で噛むと痛みが出る場合は症状がかなり進行していると考えられるのです。
その歯周病の進行状態は以下のように変化していきます。
①症状
軽度
・歯と歯ぐきの境が腫れる
・歯を磨くとき出血する
・痛みはあまり感じない
この状態の場合は、ブラッシング指導や、1~2回の口腔内のクリーニングを行うことで回復します。
中等度
・歯ぐきの腫れが進行
・出血がひどくなる
・歯根が見えてくる
・歯がグラグラする
・膿が出る
・口臭が発生
この段階では、歯の表面に沿って歯ぐきと歯のポケット部分の奥まで付着した歯石を取っていきます。
重度
・食べ物が噛めなくなる
・歯が上下左右に動く
・噛むと痛む
重度の場合は、外科的治療にて対応しなければいけないこともあります。
それでも、どうしても保存不可能な場合は抜歯となります。
※歯周病の原因
歯周病は原因として次の4つが考えられます。
1.細菌
2.歯周病を発症させる原因となる細菌(口の中に常に存在)によるもの。
3.口の中の環境
4.歯磨きがきちんとできていない。歯の磨き残しがある。歯石がついている。かぶせ物があっていない。歯並びに問題がある。
※噛み合わせの状態
噛み合せる時に過剰な力がかかっている。歯ぎしりや食いしばりがある。
※その他
体の抵抗力が弱っている/喫煙・飲酒/ストレス
②-1治療法 軽度の場合
歯石除去(スケーリング)
歯や歯根の表面の歯垢や歯石などを除去して、歯の表面をつるつるにすることをスケーリングといいます。
歯石の表面はザラザラしており、実際には軽石のように小さな穴が無数に開いているのです。
そこに細菌が入ると、歯ブラシでは取り除けない状態になり、細菌による毒素が出し続けられる状態になるのです。
その歯石を取ることで、歯垢(プラーク)が付きにくくします。
歯石は一度取っても、またついてしまうことがありますので、定期的にチェックしてもらうことが必要です。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
PMTCとは歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を用いて行う歯のクリーニングのことです。
歯と歯の間や歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)など、通常の歯みがきではとれない歯垢や歯石を取り除きます。
ブラッシング指導
歯垢や歯石がたまらないように、その人に合わせた歯磨きの方法を指導することです。
どの部分が磨けてないかをチェックするために染め出し液を使ったり、
歯ブラシの当て方や動かし方、デンタルフロス、歯間ブラシなどの使い方の指導もあります。
②-2治療法 中等度程度の場合
この場合も基本的には軽度の場合の治療を行うのですが、中等度になると歯周ポケットが深くなっており、
歯ぐきに隠れて見えない部分にも歯垢、歯石がたまってしまうのです。
ですからその奥深い部分のプラークコントロールがさらに必要になってきます。
ルートプレーニング
治療中の痛みを感じないように麻酔をし、歯根の表面に付着した歯垢や歯石を取り除きます。
その時、表面がつるつるになるまできれいにするのです。これで歯垢や歯石がつきにくい状態にします。
②-3治療法 重度の場合
重度歯周病の治療も、基本はプラークコントロールなのです。その上で歯周組織の回復をはかっていきます。
ただ症状によって、また治療を受ける人の希望などによってその後の治療が変わってくるのです。
現在、なるべく歯を残すための治療が行われているのですが、どうしても抜歯せざるを得ない場合もあります。
歯周外科手術
重度まで進行した歯周病の歯は、歯根の奥のほうまで、ぎっしりと歯石がついていることがあります。
ルートプレーニングでも取れないと判断された場合、麻酔をし、歯ぐきを一時的に剥離、歯根を見える状態にして歯石を取り除く方法をとります。
抜歯
現在、なるべく歯を残す治療が行われています。
しかし、いかなる方法でも残せない状態になっている歯は抜歯になるのです。
歯周病で噛むと歯が痛い状態はすでに重度である場合が多く、そのまま放っておくと、抜歯せざるを得ないことになってしまいます。
なるべく早く治療を受けるようにして、自分の歯が残るようにしましょう。
また治療が終わっても、自己管理、プラークコントロールが非常に重要になります。
歯周病が再発しないように気をつけることが大切です。
~根尖性歯周炎~
虫歯が進行した場合、また打撲によって神経が死んでしまい、
骨の中まで炎症が進行し、歯根の先(根尖)に膿がたまってしまうことがあります。これが根尖性歯周炎です。
そのほかにも歯根の治療が中断したままになっている、
すでに神経を取って治療が終わっている歯でも、何らかの原因で感染を起した場合、
根尖性歯周炎になる可能性があります。
①症状
・噛むと痛む
・歯ぐきから膿が出る
・ズキズキする痛み
・歯が浮いた感じがする
②治療法
まずは炎症を取り除くのが最優先となります。
1.歯ぐきに膿がたまっている場合は、歯ぐきを切開して膿をだします。
2.歯根の中をきれいにする。この段階で歯根の中から膿があふれてくる時があります。その場合はわざと綿だけをつめて膿が出てくるようにする場合もあります。
3.噛むと歯が痛い場合、咬みあわせの調節をします。かぶせ物が入っている場合は取り除くことがあります。
4.抗生剤などの薬剤を処方する
5.根尖の炎症が広範囲に及んでいる場合には、外側から穴をあけて炎症部分を除去し、根尖を除去する根尖切除手術を行ないます。
炎症が無くなり、歯根の中(根管)が充分に消毒された後に、完全に封鎖します。
これで細菌の感染から守られるのです。何よりも炎症をなくしてしまうことが重要です。
膿が完全に出なくなるまで、何度か治療に通わなければならないのですが、一旦治療を受け始めましたら、必ず最後まで治療を受けましょう。
もし途中でやめた場合は、抜歯しなくてはいけない状態になる可能性もありますので、ぜひ根気よく治療を受けてください。
~上顎洞炎~
上顎洞とは上あご部分にある空洞で、頬骨の奥側、鼻の横、目の下に広がっています。
炎症によってこの空洞に膿や鼻水が溜まるのですが、蓄膿症と言ったほうが分かりやすいかもしれません。
通常、アレルギー性鼻炎、風邪など、鼻の症状から起こることが多いのですが、虫歯や歯周病で上顎洞炎になることもあります。
①原因
上あごの奥歯の神経の出口は上顎洞につながっています。
上顎洞炎になるとその神経の出口が圧迫されるため、歯が痛くなります。
痛みのため、虫歯と勘違いする時もあるのです。また上顎洞炎になると上顎洞の粘膜が炎症を起こします。
その炎症が上顎洞につながっている上あごの歯の歯根の周りに伝わるため、噛んだ時に歯が痛くなります。
また歯根の部分を押すと、痛みを感じることもあります。
②症状
頭痛、目の奥の違和感や鼻づまり、鼻水、動いたときに響く感じがある、頬が痛む、口臭
もし噛むと歯が痛い場合で、上記の症状もあれば、虫歯ではなく上顎洞炎の可能性があります。
蓄膿症が直接の原因の場合もありますが、根尖の炎症や歯周病が原因で上顎洞炎になる場合もあります。
この場合は歯科医院での治療が必要になります。
③治療法
重要なのは原因になっている歯の特定です。
それから歯根や歯周病の治療を行います。
これで感染源の除去ができ、改善できれば問題はありません。
抗生物質を服用しながらの治療になり、細菌が上顎洞に入らないようにできれば歯を抜かなくても済みますが、
改善が見られない場合は抜歯となります。
※まとめ
噛むと歯が痛い時に考えられる原因は、どれも後々致命的になってくる症状が多いです。
噛む時の違和感が中々消えない場合は早期治療を強くオススメ致します。
放置しないで即治療が痛くない治療のポイントになることを頭に入れて頂きたいです。
「歯が浮く感じがする・・・。」その原因は!?
何だか他の歯に比べて、一本だけ歯が浮き上がっている?感覚がある。
鏡を見ても特に変化は見られない。
もしかしたら大きな病気の前兆かもしれません。
今回のテーマでは歯が浮く原因を紹介し、それぞれへの対処法をお伝えしています。
~歯が浮く原因は!?これだけは知っておきましょう!~
「激しい痛みはない、だけど歯が浮いている感じがする・・・、これって何!?」
「激しい痛みはないけど歯が浮いた感じがあります。いったい、この歯が浮くとはどういった状態で、何が原因なのでしょうか?」
こんな患者様からのご意見をよく耳にします。
まず、歯は顎の骨に埋まっています。その顎の骨と歯は直接くっついているわけではないのです。
「歯根膜(しこんまく)」と呼ばれる薄い繊維状組織によって繋がっているのです。
この歯根膜(しこんまく)の役割はいわばクッションの役割です、噛んだ時の骨に与える衝撃を和らげるために存在します。
また噛んだ時の繊細な感覚や刺激を脳に伝えているセンサーの役割もあるのです。
歯が浮くという状態は、この歯根膜が何らかの刺激やダメージを受けていると考えられます。
血行障害が起こっているために現れる症状なのです。
これは身近なところで例えると、肩こりと同じような状態です。
~「歯が浮く」症状の主な原因そして対処方法~
◇歯が浮く症状に考えられる主な原因7つ◇
①ストレスや疲労
②歯ぎしり
③食いしばり
④歯周病
⑤神経を取る処置を行った術後
⑥歯の根っこの先端に膿が溜まっている
⑦固いものを噛みすぎによる歯への過荷重
では、それぞれについてご説明します。
~ストレスや疲労~
ストレスや疲れで身体は体液の流れが悪くなります。
それは血液やリンパ液の流れが悪くすることで、頭痛や肩こりが起こったり、倦怠感がでたりします。
その一つに歯が浮く症状も、前述した歯根膜の血行不良によって起こるのです。
また風邪を引いたり体力低下が見られるときに抵抗力・免疫力が落ち、歯が浮いた感じになることがあります。
ストレスや疲労の場合も、血行不良を起こすだけでなく、体の抵抗力も低下させることがあります。
対処方法:休養が大切
こういったことを防ぐためには、まず第一にストレスを解消し、疲労をとることが大事です。
もちろん虫歯や歯周病の疑いがあるなら、早めに治療することをおすすめします。
まず無理せず、十分に休養とるようにしましょう。
血行不良により歯が浮いたときは、セルフケアとしてはブラッシングをしっかりとして歯肉マッサージを行い、血流を良くすることで症状が治まってきます。
また運動したり、歩いたりして体全体の血流を良くすることも効果的です。
~歯ぎしり~
歯が浮く原因の1つとして、歯ぎしりが挙げられます。
歯ぎしりをすると、過剰な力によって歯は左右に大きく揺さぶり、荷重を大きくかける事になります。
その時に歯根膜が引っ張られたり、のばされたり、負荷がかかりすぎてうっ血してしまい、それで歯が浮く感じがするのです。
歯ぎしりの3タイプ
①~グランディング~
上下の歯をギリギリこすりあわせるもの。(臼磨行動といいます)一般的な歯ぎしりと呼ばれています。
②~クレンチング~
歯ぎしりではなく、音をたてずに歯をくいしばり、かみしめる力が過剰にかかる行動。
③~タッピング~
咬んだ歯をそのままこすり合わせず、上下の歯をカチカチと合わせる行動。
これらの3種類を総称して「ブラキシズム」といいます。
歯ぎしりは無意識に行っていることが症状として多く出ます、特に寝ている間(不随意運動と言います)に見られます。
本人も気づかれずに行っている場合もあるので、長期間にわたって歯ぎしりをしている事があります。
また実際は寝ている時だけでなく、起きている時にも無意識下で歯ぎしりを行っていることがあります。なので気を付けなければいけません。
【原因】
歯ぎしりの原因はまだはっきりと限定できるものはわかってはいないのです。多くはストレスによるものとは言われています。
また睡眠の質にも関連がありますが、その不随意運動の中、深い眠りの時は筋肉動作が抑制されるのですが、浅い眠りになると、その抑制が解け、口腔内筋が通常より過剰に動き始めるため歯ぎしりが起こりやすいのです。
このストレスの他にも、飲酒、喫煙も眠りを浅くすると言われています。
また睡眠時無呼吸症候群や逆流性食道炎なども眠りが浅くなります、そのため歯ぎしりをしやすくなると言われています。
【症状】
歯ぎしりは、歯に対し過剰な荷重で、動かしてしまうだけでなく、顎や頭の筋肉も酷使します。
そのため歯が浮くだけでなく、肩こり、顎の痛みなどさまざまな症状があらわれます。
また、顎関節症や歯周病を悪化させる危険性もあるのです。
歯ぎしりを毎日繰り返していると起こりやすい症状が
※奥歯の咬み合わせ部分にあるでこぼこがすり減る、
※歯自体が割れてしまう
※歯自体が折れてしまう
※治療後の差し歯や詰め物も破損、もしくは外れたりする
こういった症状を未然に防ぐため、歯科医院でチェックしてもらう事が大切です。
【治療法】
まず、歯ぎしりに対しての治療法として挙げられるのがマウスピースです。
夜寝る時にナイトガードと呼ばれるマウスピースを装着し、歯にかかる荷重負担を軽減させます。
歯ぎしりの原因はストレスである場合が多く、ストレスを軽減させる事も大切です。心と体をリラックスさせましょう。
【全身疾患との関係性も否めない】
逆流性食道炎や、全身疾患による歯ぎしりも考えられます。
たかが歯ぎしりと思わずに、しっかりと診察を受け、対処していくことが大事なのです。
~食いしばり~
通常、口を閉じている状態で上下の歯は触れ合っていません。
ところが状況により気づかないうちに力が入り、食いしばっていることなどがあります。
この時、強い力で歯と歯が接触しつづけ、歯根膜にダメージを与えてしまい、歯が浮く感覚になるのです。
例えば、
パソコンなどを集中して使用している時
運転中
通勤時電車に乗っている時
スポーツをしている時
ゲームなど趣味に没頭している時、などなど・・・・。
またこれらはストレスによっても起こる事もあり、知らずに食いしばっていることがあります。
そして食いしばることで、より一層筋肉が緊張し、頭痛、肩こりなどを引き起こしてしまいます。
【対処法】
まず、無意識に食いしばってしまっている事に気が付くのが大事です。
知らないうちに食いしばっていることが多く、意識的にリラックスさせる事が大切です。
その時は、頬を緩め、奥歯を離し、眉と眉の間を離すよう意識してみてください。自然と緩んだ状態になります。
症状が強い場合は、歯科医院でマウスピースを作成し負担を軽減させる必要があります。
関連記事:スポーツ用マウスピースの重要性とその効果
~歯周病~
歯周病とは簡単に言えば口腔内の細菌感染症です。
歯みがきがきちんとできていない状態で、知らずに放っておくと歯周病菌が歯ぐきと歯の間から入り込みます。
すると、歯ぐきに炎症を起こします。歯肉炎から歯周病へと悪化し、この炎症のために歯が浮いたような感じがするのです。
特に疲労が蓄積しているときは、体の抵抗力免疫力が落ち、浮いている感じが出やすくなります。
【治療法】
①プラークコントロールの徹底
歯周病の治療の基本は歯磨き、そして歯科医院での定期検診によるプラークコントロールです。
細菌のかたまりの歯垢(プラーク)をいかにしっかり除去し、付着させないかがポイントとなります。
しかしやはり個人差があり、歯みがきをしているにもかかわらず、磨き残している場合があります。
どの部分が磨き残しやすいのか、どうやったらきれいに磨けるか。
その人によってポイントが違いますので、そこで歯科医院での定期検診チェックが必要なのです。
②歯石除去
プラークコントロールができてくると、歯ぐきが締まります。
この状態からようやく歯石を取ることができます。歯根部分(歯の根っこの部分)まで歯石が付いている場合も、その表面がしっかりきれいにになるまで歯石除去をすることが大事です。
歯石も細菌の凝集体です。そこから更に細菌が入り込み毒素を出し続けますので、きれいに取り除くことが必要なのです。
~神経を取った治療の後~
虫歯が進行してしまい、それが神経まで炎症が及んだ場合、その神経を取らなければいけなくなります。
歯はその神経をとると、その刺激により歯根膜に血液やリンパ液が集まり、悪い状態を回復させようとします。
そのため歯根膜は厚くなり、歯が浮く感じがするのです。
【神経をとってから、歯が浮くような状態が長引くようであれば注意が必要】
通常、神経を取った歯が浮く状態は細菌によるものではなく、また一過性のものが多く、2~3日、長くても1週間くらいで治まります。
もし歯が浮く状態が長引いたり、痛みが出ている場合は、他の原因が考えられます。
その場合、歯科医院にて検査をしてもらい、しっかりと原因をつきとめることが必要です。
~根っこ先端に膿がたまっている~
虫歯を放っておくと歯の内部(根管内)まで感染します。すると神経は死んでしまう事があります。
また既に神経を取って、根っこの治療が終わっている歯でも、様々な原因で再感染することがあります。
この時、根っこの先に膿の袋ができる場合があります。これを歯根嚢胞と言います。
◇膿の圧力で歯が押し上げられる◇
歯が浮く感じがするのは、膿が袋の中溜まり、圧が高まり歯を押し上げようとするためです。
この膿の袋を歯根嚢胞(しこんのうほう)といいます。
歯根嚢胞は急速に発達しません。
何年も放置する事により大きくなってしまい、治療しづらい状態になることもあります。
◇体力が落ちて免疫力が低下している時は感染が一気に加速する◇
普通は痛みがないことが多く、しかし、疲労や風邪、体の抵抗力や免疫力が落ちている場合、感染が一気に加速します。
この時の痛みは非常に激しい痛みを伴います。ですから、こういった事を避けるため、たとえ痛みが無くても、早期治療を行う事が必要なのです。
【治療法】
①根管治療
根っこの中の治療のことです。
歯根嚢胞が比較的、小さい時に行います。
歯やかぶせ物、詰め物などを削り、歯の根っこの中から膿を出します。
痛み、炎症などが治まった時点で、根っこの中をきれいにし、無菌状態で充填します。
そして、再度かぶせ物や詰め物を入れるのです。
②歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)
歯根嚢胞を直接取り除く治療です。
嚢胞が大きくなってしまって、根管治療が難しいと判断された場合や根管治療だけでは炎症が治まらない時に行われます。
麻酔をし、歯ぐきを切って、骨を削り、歯根嚢胞を外科手術にて取り除きます。
この時、原因となった根っこの先端部分を除去する事も必要になります。
細菌が入らない様にし、切り開いた歯ぐきを縫合します。
嚢胞自体を取り除くので、再発の可能性は低いです。
しかし、どうしても治療ができない場合、歯を残すのが難しい状態の場合は抜歯になりますので、早めに歯科医院で検査を受けましょう。
~固いものを噛みすぎてしまった場合~
固いものや同じものを食べ続けると歯が浮いた感じがしてきます。
これは歯に圧力が加わり続けたことで、歯根膜がリラックスできない状況が続き、ダメージを受けた状態になってしまうことが原因です。
◇ダメージを回復させるために、体液が集まってくる◇
身体も同じですが、ダメージを受けると回復させるために歯根膜に血液やリンパ液が集まってきます。
それが理由で歯根膜は厚みを増し、歯が浮いた感じがするのです。
固いものを食べ、歯やあごを使いすぎて酷使し過ぎたと思ったら、安静にしておくことが大事です。
歯が浮く症状が長引いたり、痛みが強く出たりしたら、他の原因が考えられます。早期に診察を受けましょう。
~まとめ~
歯が浮く原因はこの7つをまずは抑えておけば安心です。
違和感が長続きする場合は、何か他の原因が考えられますので、まずは歯科医院で相談してみてください。
今回のテーマはお役に立つものでしたでしょうか?
しおばら歯科医院は、また随時アナタのお口の健康に役立つ歯科情報をお届けしていきます。
長い文章を最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!
~お口の中に存在する口腔内細菌~
ついに2017年も最後の日になりました。
大晦日、皆さまいかがおすごしでしょうか?
大晦日は皆さん夜遅くまで起きている方々もおおいと思います。
そんな時もお口のケアは欠かさずにいたいですね。
さて、今回のテーマはお口の中の最近です。
口腔内には500~700種の細菌がいます。
歯をよく磨く人でも1000~2000億個。
よく歯を磨けていない人では4000~6000億個程度といわれています。
さらにほとんど歯を磨かない人では1兆もの細菌が存在すると言われているんです。
この口腔常在菌と言われる細菌の中には歯を失う原因となってしまう悪い細菌も多々存在します。
この細菌達は、お口が健康な状態であっても必ず存在する細菌なのです。
歯周病治療を行ったとしてもこの細菌数が「ゼロ」になることはできません。
しかし、これを極力、数を減らすこと、歯周病活動を抑えたりする事により、再発を少なくすることにつながります。
それが「歯周病治療」いわば、「歯科予防」なのです。
~口腔内細菌の大別は主に2つ!~
①好気性菌(こうきせいきん)・・酸素が存在する部分でのみ生きることが可能な細菌
②嫌気性菌(けんきせいきん)・・酸素が存在する部分では生きるのが困難な細菌
好気性菌は、歯周病の原因にはなりにくいので、口の中で繁殖しても、あまり心配はいりません。
歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの溝の中には、酸素濃度は1%以下しかありません。(因みに空気中の酸素濃度は21%です。)
歯周ポケットは、酸素が嫌いな「嫌気性菌」にとっては格好の住み心地が良い場所なのです。
歯周ポケット内のプラークに生息する細菌のほとんどは、嫌気性菌であり、この嫌気性菌が歯周病の原因となります。
~代表的な3種類の嫌気性菌~
※Pg 菌 : ポルフィロモナス ジンジバリス菌
※Tf 菌: タネレーラ フォーサイシア菌
※Td 菌 : トレポネーマ デンティコーラ菌
名前だけ並べられても、何がなんだかわかりませんね。
ただ、この3つの代表的な嫌気性菌が主に歯周病を進行させていきます。
~この中の代表格!Pg菌~
Pg菌は、「慢性歯周炎」の原因菌で、軽度、重度問わず、歯周病のお口の中から高頻度に検出されます。
また、Pg菌の出す毒素は、骨を溶かす作用に加え、口臭の主な原因とも言われています。
~感染ルートはどこから?~
出産前のお腹の中にいる赤ちゃんは、おなかの中で無菌状態で成長します。
この時点ではお口の中含め、どこにも細菌はいません。
産後、口腔内細菌は家族(主にお母さん)からの感染で定着していく事が多いのです。
なので、家族の方の口腔内に虫歯、歯周病の原因菌が多いと、お子さんはとても虫歯になりやすくなります。
「なんでうちの子は虫歯になりやすいのだろう?」
「こんなに定期健診しっかりやってるのに虫歯になんでなるの?」
そう思っていらっしゃる親御さんも多いのは事実です。
お子さんのお口の中だけに関心が行ってしまうのもとてもわかります。
ただ、これを読んでいただけた親御さんに思い当たる節がございましたら、自分の口腔内ケア、口腔内メンテナンスを少し振り返ってみてください。
自分のお口の中は本当に大丈夫ですか?
また、口の中の悪い細菌には、全身疾患を引き起こすものも含まれていて、免疫力の低下とともに増殖し、全身疾患につながるなんてこともあります。
様々な病気のリスクを減らすため、お口のケアをしっかり行い、清潔に保つことが何より大切なのです!
~他の代表的な菌類~
※カンジダアルビカンス
歯垢(プラーク)の中には沢山のカビも存在します。
知らない方は驚くかもしれませんね。
その代表的なのがカンジダというカビです。
これは真菌(カビの仲間)と呼ばれる常在菌なので通常生息していても問題ないですが、
数が多くなり、免疫が下がると、口腔内や全身へも悪い影響を及ぼす可能性もあると言われています。
※歯肉アメーバ
これは古くから存在する原虫という虫の仲間なのです。
口の中以外にも、様々な場所に存在しています。
重度の歯周病患者さんの口腔内に増殖する傾向があり、悪い最近などと戦う白血球をたくさん食べてしまうそうです。
※トレポネーマ デンテイコーラ(スピロヘータ)
位相差顕微鏡と呼ばれる特別な顕微鏡で見ているととにかく動きが早く、これがいると他の細菌類も増えやすく、状態が悪い口腔内に存在する指標となる最近の一つです。
治療後もこの細菌の割合が高いと再発が早いとされます。
なので、この細菌の水準が治療効果の目安にもなっています。
※ミュータンス菌
これが主に虫歯の原因となる細菌、「虫歯菌」と呼ばれるものです。
~まとめ~
①歯垢(プラーク)とは単なる磨き残しや食べカスとは違い、細菌の塊であること。
②お口の中の細菌ぼ知識を知ることで、歯周病・虫歯予防のために歯磨きに対する意識を高め、持ってもらいたい。
③患者さんご自身で完璧なメインテナンスはできません、定期健診などでメンテナンスクリーニングはしっかり行いましょう。
しっかりとした正しい知識を身につけ、ご自身含め、ご家族とともに2018年も歯周病、虫歯のない口腔内を目指しましょう!
~予防歯科の正しい考え方、「治療」とはどう違うのか?~
皆さんが歯医者で痛い思いをしている人の共通点は「痛くなってから通院する」、この一つです。
痛みが出てからの治療では、その歯は寿命を短くするだけです。
「痛くなる前の通院」
これが注目されている新たな考え方。それが「予防」なのです。
~日本人が知らない予防歯科の考え方~
予防歯科とは?
近年、歯科医療では「予防歯科」が大きく注目されています。
今回「予防歯科」の背景にある、海外と日本の違いについてお教え致します。
~「予防と治療」の明確な差~
「予防」と「治療」の関係性を考えると「予防歯科」が見えてきますので、そこからご説明しましょう。
「予防」とは、「予め」「防ぐ」という事であり、何かが起こる前に、それを防ぐという行為です。
つまり、まだ「何か」は起きていない状況が、この予防です。
歯に異常、病気が起こる前、それを未然に防いでいこうという考え方が「予防歯科」の考え方です。
これに対し、「治療」とは「治」という、病気などの状態を元に戻すという意味の言葉と、
「療」という病気をなおすという意味の2つから成り立っています。
つまり、「治療」とは病気や怪我を治して元通りにするという意味です。
ですが、残念ながら歯科治療において「治療」という言葉は存在しないのです。歯は元通りに治療することは決してできないのです。
~歯は削ったら決して元通りにならない~
歯はカラダで唯一、「再生機能」がない組織です。
他の人体の組織とは異なり、削ったら二度とは再生せず、元に戻らないカラダの一部なのです。
放っておいても虫歯が勝手に治ることも、固定をして自然と歯がくっつくなんという事もありません。
歯質は人体の組織の中で自己治癒(自分で治る)能力をもっていない(厳密には自己治癒能力の弱い)脆い身体の一部なのです。
~歯を悪くすると、悪化の一途をたどる一方になってしまう~
前述したとおり、歯牙は自分で再生することは不可能です。
もし、虫歯や歯周病で悪くなってしまうと新しく再生することはありません。もう、諦めるしかないのです。
しかし、そのまま悪くなる事を放置したままにするわけにはいきませんので、悪くなった部分を削ったり、除去したり、人工物で埋めたりするしかないのです。
しかし、歯は一度削ると寿命が10年縮むと言われています。
平均的な歯の寿命が50年程度と言われています。なので、一度詰め物を行うとそこから10年寿命が縮みます。
また、保険内の金属の詰め物は5年程度で物性劣化が始まります。
劣化したらまた新たに詰め物を装着せねばならず、そこから更に削り、また更に寿命が縮みます。
「予防」を怠ると、その繰り返しなのです。
~若年層でもで入れ歯になる~
小学生の頃、乳歯との生え変わりの時期に永久歯が虫歯になり、治療を何度も行っていると、30代等の若さで抜歯になってしまうことも珍しくはありません。
歯医者さんに聞けばわかりますが、30代で入れ歯生活を送る方も少なくはなく、苦労されている方も多いのです。
~天然歯(何も削ったりしておらず、虫歯などになっていない歯の事)に勝るものはない~
どんなに歯科技術、歯科医療が進歩していても、自らの歯(天然歯)に勝るものはどこを探してもないのです。
しかし、そのような大切さをあまり気づいてない方々も多いのも事実です。
歯磨きもあまり習慣づいておらず、痛くなってから歯科医院に駆け込むという経験をする方は多いのではないでしょうか?
しかし、ここで強く言える事は、痛くなってからではすでに「予防」に関しては手の施しようがないのです。
~歯の寿命とは~
何度も繰り返しになってしまうのですが、歯科治療は「前の歯の状態に戻す」ことはできません。
特に神経まで虫歯が到達し、抜髄(神経を取る事)になってしまった歯は通常の歯に比べて寿命が飛躍的に短くなってしまいます。
これは例えば、家の大黒柱を大きく削り落としていくようなものです。
~神経を抜いた歯の耐久性は?~
前述したとおり、神経を抜いた歯は通常の歯に比べたら断然耐久性が落ちます。
外部からの衝撃や、固いものを食べた瞬間に簡単に崩れてしまうのです。
一度神経を抜くということは、それほどひどい状態だったということを改めて認識して頂きたいです。
そこを意識いただくだけでも自然と未然防ごうという意識が働きます。
それも予防の一つですね。
~老人には歯がない。これは日本だけの常識!?~
お口の中には親知らずをぬかして、28本歯があります。
そこで以下の数字があります。
スェーデン75歳以上:19.5本
アメリカ85歳以上 :15.8本
日本80歳以上 :6.8本
年齢に差異はありますが、これが世界一の長寿大国日本が持つ歯の保存本数の現状です。
日本は世界の中では長寿の国ですが、同時に歯で苦しんでいる代表的な国です。
歯科業界では、大きく遅れをとっている歯科発展途上国だということは非常に有名な話なのです。
しかし、これも「予防」意識で本数を増やしていく事は可能なのです。
~日本の保険制度と日本人の歯の関連性~
世界でも日本は保険制度の確率している珍しい国です。
日本は世界でも珍しい程完璧な保険皆制度をとっています。
医療保険に加入しているため、医療費は実際の治療費の1~3割負担で済みます。
これは、世界では驚かれるほどの安さです。
下記の画像をご覧ください。これは、先進各国の歯の根の治療(神経の治療)にかかる費用の比較表です。
アメリカは一番高額で10万8千円。
一方日本は最安の約5800円です。
7カ国平均約50500円で、日本の約8.5倍の格差があります。
根管治療だけがこうした結果なのではなく、他の治療においても同じ格差が出ます。
他国は歯科保険制度がなく自費での診療を行っているためここまで治療費に差がついてしまうのです。
しかし、実はここに欠点が出てきてしまいました。
日本の保険制度は、「悪いところを削り、悪いと所だけ治し、代わりのものを詰める」のみを適応範囲としています。
つまり、「歯は悪くなってから」「治療して削り治せばいい」という意識が根付いてしまったのです。
これは、歯科医・歯科業界にも責任があり、「いかに治療をするか」ばかりを考え、
「どうしたら歯の病気を防ぐことができるか」という一番大切な「予防」という概念がないがしろにされてきてしまったのです。
決して、国民皆保険での医療の潤沢がすべて悪いわけではありません。
医療を受ける側、医療を施す側、双方の意識から「未然に防ぐ」という意識を欠いてしまったのです。
こうした間に欧米とは意識差がついていき、先進国のなかでも類を見ないほどの歯科発展途上国になってしまったのです。
では、具体的に欧米諸国と日本との“差”はいったい何なのでしょう?
それは、欧米諸国と日本の“歯医者”への考え方を見てみるとわかります
どうしたらいつまでも歯を残すことができるのか??
~欧米諸国と日本、歯に対する考え方の違い~
欧米諸国は何故、歯を残すことが出来るのでしょうか?
長寿大国日本が、歯が残らない民族なのでしょうか?答えは簡単。
「定期的に歯をメンテナンス・クリーニングしているかどうか?」ただこれだけです。
痛くなってからの治療では手遅れということを知っている欧米諸国は治療に保険がきかないぶんだけ、意識が予防に自然と行くのです。
ですので欧米諸国では、痛くなってからどうにかする“治療”ではなく、
普段からの“メンテナンス”に力を入れているから国民全体の歯の残存本数が向上したのです。
~歯がない生活の苦しさ~
あなたが老人になった時、自由に好きなモノを食べられる生活と、
食べるものを制限され、味覚も悪く、自由に好きなものを食べることができない生活のどちらがよいでしょう?
老人になったら、なんでもいいやと思っている方はきっとお口の中への意識が低い方だと思うので、もしかしたら40代前半で口腔内に異常が起こるかもしれません。
30代で総入れ歯になった患者さんは、味覚が鈍磨し、口臭が気になり、食事に出かけてもこっそりとトイレに行き入れ歯を洗うという非常につらいと聞きます。
ところで、歯は何故抜けてしまうのでしょう?じつは、歯が抜ける原因の半分がある病気が原因なのです。
これは以前のblogでも書きましたので、以下をご参照ください。
↓
現在、アナタを含め日本人ほとんどが歯周病にかかっているという状況です。
これは、日本が「予防歯科」という方針をとらなかったため、仕方がないことでもあります。
では歯周病を防ぐにはどうすればいいの?
これは以前からblogにも常々書かさせていただいていることなので、もう見飽きた方もいるかと思いますが、簡単に言えば「歯磨き」を丁寧に行うことが大切なのです。
しかし、多くの方が自己流の歯磨きで、しっかりと磨けていないため、毎日歯を磨いていたとしても歯周病になるという方も多くいます。
また、「歯ブラシ」だけの歯磨きでは全体の内の8割しか汚れをとることができないため、残りの2割は口の中に留まり、口腔内を徐々に悪化させてしまいます。
大切なことは、正しいブラッシング方法を知り、ご自身のブラッシングでは取れない部分を歯医者さんで定期的(理想は3ヵ月毎)に診てもらうことです。
定期検診という癖をつけるだけでアナタの歯は歯科先進国の欧米諸国並に歯を一生守って行くことができるのです。
~まとめ~
①「痛くなった時」に行く歯医者さん、という考え方ではいけない。
②「歯を削る」という行為はといずれは「歯を痛める」という行為にも繋がってしまう。
③大切なのは、「治療」ではなく「予防」
④定期健診で歯医者さんに行く習慣を身につけ、虫歯・歯周病から歯を守る。
いかがでしたでしょうか?一概に「予防」といっても、その大切さが一人でも多くの方々に伝わっていただけたら幸いです。
歯茎が下がる・痩せる!?その原因とは!?
きちんと毎日しっかりと歯磨きをし、ケアをしていれば進行は遅らせることができます。
それでも歯茎が下がってしまうのなら、以下のような原因が考えられます。
①加 齢
②歯周病
歯周病になると歯茎に炎症がおき、歯と歯茎の間にプラーク(歯垢)そして歯石などがたまります。
すると炎症が進み、歯を支えている骨が溶けてしまうこともあります。
歯周病は重度になるまで自覚症状がない事が多く、気づきにくいものです。
やはり毎日の丁寧な歯磨きが予防していくにはとても重要です。
③やり方を間違えた歯磨き
歯の磨きすぎや力の入れ過ぎによって歯茎が傷つき痩せることがあるのです。
虫歯を防ぐためにゴシゴシと強く磨く方も多いでしょう。しかし、力を入れて磨くことによってやわらかい歯茎が傷つき削れて、それが歯茎の老化につながるのです。
他にもロングストロークという大きく動かしすぎる磨き方や、サイズの合わない歯間ブラシなどを使い無理に通そうとするなどの行為も、歯茎を傷め退縮せさせてしまう原因になります。
力を入れずとも、正しい歯磨きの方法をしっかり実践することでプラークはキレイに落ちます。
ゴシゴシと力任せに磨こうとせず、マッサージをするような感覚で優しく時間をかけて磨いてあげましょう。
④噛み合わせ(咬合関係)
歯茎が下がる原因のひとつに、噛み合わせもあります。
噛み合わせにより一部の歯が強く噛み合わさってしまう場合、その部分の歯周病や歯肉炎を伴い、歯茎が痩せて歯根が見えてくることがあります。(咬合性外傷)
また、歯軋りなども同じく、極度な咬合力が加わった場合に歯茎に影響がでます。
歯列矯正なども、歯を人工的に動かしたことが原因で歯茎が下がることもあります。なので、矯正中の方々は特にケアが重要になります。
⑤痩せた歯茎の改善・治療法は?
そして、一度下がった歯茎をもとに戻すことはそう簡単なことではありません。
ただ、難易度は高いのですが、絶対に戻らないというわけではありません。
気になる方は歯科医に相談してみることをお勧めします。
治療法としては、『遊離歯肉移植』『結合組織移植』という2つの治療法があります。
これは、他の部位からとってきた歯肉・結合組織を、痩せて下がってしまった部分に貼りつけるという外科的施術方法です。
移植してから数ヶ月後に歯肉となります。
これらの方法は医師の高い技術や患者さんの歯茎の状態に大きく関係するため、じっくりと診断を行ってもらってから治療法を決めていきましょう。
専門医のいる大学病院などで行われる事が多い施術方法です。
⑥退縮を予防する方法は?
しかし、この歯肉を下げる一番の原因は歯周病です。
その一番の予防方法は、やはり歯磨きの改善です。
以前のブログにも記しました通り、歯周病の進行を防ぐことが、歯茎が下がってしまうのを防ぐことに大きくつながります。
まずは、
就寝前必ず磨くことを徹底します。歯磨きをせずに寝ると口内は細菌だらけ。
寝ている間に、歯を守ってくれる唾液量がグンと減りますので、寝ている間の菌の増殖を抑えるためにも寝る前の歯磨きが大変重要です。
夜寝る前と朝起きた後、そして食後は歯磨きをする、という習慣付けをしましょう。
(blog「プラーク」、「バイオフィルム」、「歯石」の違い参照)
歯ブラシ選びも重要です。歯周病の進行を防ぐため「軟らかいブラシ」「小さなヘッド」のものが最適です。
歯ブラシが傷んでくると磨いている歯肉をも傷つけてしまう恐れがありますので、歯ブラシは1~2ヶ月を目安に交換するようにしましょう。
歯磨き粉は付けなくてもいいくらいですが、なるべく粒子が細かい薬用歯磨き粉がおすすめいたします。
歯ブラシは、ペンを持つように持ちます(ペングリップ)、この持ち方が余計な力が入らず丁寧に磨ける方法です。
そしてマッサージをするように、力を入れず小刻みに動かすように磨いていきます。
(blog正しいブラッシングとは?参照)
皆様のお口の健康増進の手助けになれれば幸いです。
~歯周病・虫歯予防から見る認知症やアルツハイマーへの効果~
他にも、お口の中が不健康だと発症リスクが高まる病気は様々あり、その影響は併発しながら全身に及びます。
あまり関連性のないように思われる方々も多いかもしれませんが、歯周病や虫歯で、歯の残っている数が少ない人は認知症や若年性アルツハイマー病を発症するリスクが数倍も高まってしまうのです。
今回はそういった方の為に、これから歯の健康と認知症や若年性アルツハイマー病との関係性について解説していきたいと思いますので、ご一読いただければ幸いです。
~歯の不健康を招いてしまう全身疾患~
それは「歯に虫歯はない」「欠損歯がない」「歯肉の状態が良好」という状態です。
逆に、歯が不健康な状態とは「歯がもろい」「抜けている」「歯茎が弱い」といった状態です。
しかし、なぜ歯は不健康になってしまうのでしょう?その原因のほとんどは病気によってもたらされることが多く、
blogでも前に書かさせていただきましたが、その代表的なものは虫歯と歯周病です。
~歯周病は認知症や若年性アルツハイマー病の原因になりうる~
この歯周病が認知症や若年性アルツハイマー病に大きな悪影響を与えます。
いくつかの実験をもとにその結果から言われております。その影響をチェックしていきましょう
~歯周病とアルツハイマー病~
その結果、歯周病を発症させていないマウスと比較すると、認知機能の低下、アルツハイマー型認知症に特徴的に見られるアミロイドβという物質の沈着が脳内にある海馬や皮質という部分に多く見られたのです。
この結果、「歯周病はアルツハイマー型認知症や若年性アルツハイマー病を悪化させる可能性が高い」という事がより明確にされたのです。
~では一体、なぜ歯周病がアルツハイマー型認知症を悪化がさせたのでしょうか。~
これら細菌や炎症物質がお口の血管から血中に乗り、身体をめぐり脳へ運ばれ、脳へ何らかの影響を与えアルツハイマー型認知症を悪化させるのではないかと考察できます。
~歯周病と血管性認知症の関連性~
その結果、
なぜ、歯が抜けると脳血管性の病気のリスクが上昇したのでしょうか?
この調査では、歯が抜けるということは、先に述べた「歯周病原性最近」や「炎症物質」の影響もあり、脳の動脈硬化を進め、脳血管性認知症のリスクが高まったのではないかと言われておりされます。
歯周病を発症し増殖する歯周病菌を攻撃するサイトカインという炎症性物質が放出されます。しかし、本来歯周病をやっつける役割のサイトカインが血液中に入ってしまうことで動脈硬化まで促進させてしまうのです。
~歯数が少ないことは人の咬合(噛む力)を奪い、記憶力低下を招く~
歯周病による認知症や若年性アルツハイマー病への影響は、歯周病原性細菌や炎症物質によるものだけではありません。歯周病により、歯が抜け歯の残存数が減り、噛む力が弱まることも認知症や若年性アルツハイマー病の進行に大きな影響を与えます。
~トランスジェニックマウス実験~
そこで、考察すべく行われた動物実験を紹介します。
あるマウスの奥歯を削り餌を食べづらくし、そこから記憶や学習への影響を調べる実験「トランスジェニックマウス」と呼ばれています。
奥歯を削ったマウスは奥歯を削ると記憶に関係する海馬の神経細胞が減ってしまうことにありました。
しかし、ただ満足に餌を食べることが出来ず脳内に十分な栄養が行かなかったのではないか、という事とも考えられます。
そこで、改めて咀嚼する必要が無いやわらかい餌で実験した研究でも記憶を担当する脳の神経細胞が減少することが確認されました。
また、アメリカの研究でも歯周病で歯が無い人は、歯が残っている人より認知機能が低下することが分かっています。
~良く噛むことで記憶力を保持・向上~
また、しっかりと噛むことは律動的なリズミカル運動でもあり、ストレス解消に役立つ物質セロトニンを増やします。
よく噛むことは記憶力を低下させず認知機能を保つために必要な行為なのです。
これらの事から記憶障害と深く関係する認知症や若年性アルツハイマー病の予防・治療には、「よく噛める」ことが大切なポイントです。
この様に、硬いものを噛むことは脳の機能維持、特に記憶機能にきわめて重要です。
歯があるうちはありがたみをあまり感じませんが失って気づいたときにそのありがたみに気が付きます。
~まとめ~
歯が抜ける、すなわち歯周病が進行している人は脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症の発症リスクを上昇させることが分かります。したがって、日頃から歯周病を予防する為の口内ケアは、認知症や若年性アルツハイマー病の予防・治療に欠かせない重要なケアと言えるでしょう。
~「プラーク」、「バイオフィルム」、「歯石」~
「プラーク(歯垢)」、「バイオフィルム」、「歯石」。
皆さんが受診されるときに、これらの言葉をたびたび歯医者さんやそのホームページなどで見かける言葉だと思います。
しかし、なんとなくお口の中の健康阻害する存在であることはわかるものの、それが各々どう違うのかはよくわからない。たぶんそういう方は多いのではないでしょうか。
実際、私たちにもでもそのようなご質問をいただくことがあり、分かりやすく症状のご説明をするにあたって気を付けている項目でもあります。
今回では、そんな「プラーク」「バイオフィルム」「歯石」の違いについて少しだけご説明したいと思います。
~「歯垢(プラーク)」とは微生物の固まり~
一般的に「プラーク(歯垢)」と呼ばれるものは、虫歯菌や歯周病菌をはじめとする微生物の固まり、つまり凝集体です。
黄白色を帯びた粘着性の物質で、わずか「1mgに数億から数兆もの細菌」がそこには存在します。
プラークは組織の約8割が水分で、残り2割が有機質。有機質の大半は細菌とその代謝物です。それがお口の中を酸性にして虫歯や歯周病にしやすい状態を作るのです。
プラークが増殖すればするぶん、細菌が増殖し虫歯や歯周病、におい(口臭)などを招くことも分かっています。
プラークは食後8時間程で生成されると言われています。皆さまがよく勘違いされているのは、食べカスとはまったく別物という事です。
しかし、細菌は食べカスに含まれるもの栄養源に活発化するので、無関係というわけではありません。
故に食べカスを残さないこと、歯ブラシをしっかりとするという事は、細菌の活動を抑えるうえでとても重要なのです。
ちなみに、粘調性のあるネバネバしたプラークは水や洗口剤でうがいをしたくらいでは落とせません。歯磨きなどやその補助器具などの物理的処置によって落とすことができます。
~「バイオフィルム」とは「プラーク」と何が違うのか?~
結論から言ってしまえば、バイオフィルムとプラークは同じものです。
そもそも、20年以上も前まではほとんどの歯科医療関係者は歯垢のことを「プラーク」と呼んでいました。
しかし、10年ほど前からプラークの構造が、お風呂の排水溝やシンクの水場に見られる「ヌルヌル」と同じ構造であることが、研究に分かってきました。
ここで、このヌルヌルを指す言葉として登場してきたのが「バイオフィルム」なのです。
以降、この「バイオフィルム」という言葉が環境関係や医科関係といったさまざまな領域で扱われるようになり、そこに端を発し一部の歯科関係者がプラークを「バイオフィルム」と呼称するようになり広まりました。
「プラークがそのままより成熟してできたものがバイオフィルムである」
バイオフィルムとプラークは同じものです。
これらを除去するには、患者さんご自身による正しいブラッシングが欠かせません。しかし、患者さんご自身ではどうしても除去できない部位もでてきてしまいます。
そのような部位は、歯科医院で適切に除去するしかないのです。
~「プラーク(歯垢)」の付着を招く歯石~
歯石(tartar)とは、歯に付着したプラークが唾液中に含まれるカルシウムやリン酸などと反応し石灰化します。そして石のように硬くなって歯の表面に付着したものなのです。
歯石は「死んだ細菌の固まり」であり、プラーク(バイオフィルム)のようにそのものが歯周病を引き起こす原因にはなりませんが、歯石の表面の凹凸でプラークが付着しやすい状態です。
そのため、歯石の上にプラークが付着して石灰化し、さらに大きな歯石となり、歯茎の炎症をさらに招く結果となっていくのです。このように、プラークが歯石になってしまうと歯磨きで除去するのは不可能です。
歯茎の縁よりも上にある歯石は黄色みを帯びた乳白色をしていますが(縁上歯石)、歯茎の縁より下にある歯石は褐色です(縁下歯石)。
歯科医院でこの歯石を取り除くことが、歯周病の改善には欠かせません。
なお、ご自身で歯石を除去しようとする方もいらっしゃるようですが、歯周組織を傷つけて口腔内状態を悪化させてしまうので決しておすすめできません。
食後8時間ほどでプラークが生成され、そのプラークは約48時間で歯石になってしまうことが明らかになっています。
上記からも患者さんご自身で行っていただく歯磨きはとても大切です。
ご自宅でのセルフケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアを上手に駆使し、歯周病トラブルを起こさないよう、お口のトラブルとは無縁の健康なお口を維持していきましょう。
~歯ブラシの交換、皆さんどうされてますか?~
~歯ブラシ交換する時期~
虫歯や歯周病、口臭などの原因はプラーク(歯垢)です。
そのプラークが固まり、厚く層のように取れなくなってバイオフィルムというものになります。
歯ブラシはそのプラーク除去に最も効果的な器具なのです。
もちろん歯間ブラシやフロスも補助的に使用していただければ、より効果的になります。
皆さん歯ブラシはどのようなタイミングで新しくしますでしょうか?
当院では大体1ヶ月ぐらいで交換するのを勧めてます。
しかし、ブラシの形状により、硬さ・ブラッシング回数・ブラッシング圧などで歯ブラシの劣化は違ってきます。
それは個人個人お人によっても変わってくるというものでもありますよね。
~交換時期のわかりやすい目安は?~
アムステルダム大学での「プラーク除去効率の比較実験」というものがありました。
その結果、
•毛先が開いてしまったハブラシは、新品の歯ブラシと比較しプラーク除去効率が著しく除去効率が落ちた。
•歯磨剤(歯磨き粉)は、プラーク除去効率には影響しなかった。
二番目の項目は皆さん見落としがちかもしれませんね。
歯磨剤はプラーク除去ではないのです。あくまでブラッシングの補助的薬効成分なんですね。
そこをはき違えてしまうと、「この歯磨き粉をつかってるから大丈夫」なんて誤解を生んでしまうのです。
そして面白い結果は、
•少し使用したハブラシは新品よりプラーク除去効率が高かった。
新品に交換して2・3日は「なんだか磨きにくい」と感じるかたも多いかもしれません、そこから少し慣れてくる過程で、実験でもそのような結果が出ました。
新品の効率が一番良いなら、早め早めの交換をするのが一番ですが、そういうわけではないようですね。
新品の状態 一番状態のいい慣れた時期毛先が開き効率の悪くなる交換時期
しかし、この実験結果からみるとそれでは少し遅いと思われます。
「プラーク除去効率の低下を感じたら交換」なのが一番ですが、それは一般の方には難しいかもしれません。
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