頬の内側や舌に筋のような跡が付いていることはありませんか?
今回は頬に跡が付く原因についてお話しします。
歯列の外側には頬粘膜、内側に舌があります。
その2つに歯形の跡が付く事があり、その原因はそれぞれ別にあります。
ただどちらも共通して言えるのは、歯に頬や舌を押し付けることによって起こっています。
~頬に関しては主な原因は強い咬みしめです。~
普段、人は唇を閉じた状態(安静時)で上と下の歯は接触していないのが正常です。
しかし、
※前傾姿勢で長時間作業
※重い荷物を運ぶ
※慢性的ストレス
等が起こると人は咬みしめを起こしているがあります。
これをTCH(Tooth Contacting Habit)と言います。
通常人は1日を通して、食事の時間も含めても上下の歯が接触している時間は15~20分と言われています。、
しかし、このTHCがある方は何時間も歯同士が接触しています。
歯は下顎の骨が動くことで咬むことができ、下顎の骨を動かす筋肉(咬筋)の一つが頬にあるのです。
咬みしめているという事は筋肉を何時間も使っているということです。
これは筋トレをしているのと同じ様に筋肉が大きく肥大してきます。(腕立てをして腕が太くなるのと同じです。)
大きくなった頬の筋肉は外に張り出すと顔が丸くなり、内側には張り出すと頬の粘膜に歯形がつきます。
筋肉が大きくなることに問題ありませんが、歯が接触してしまう事は問題です。
歯が接触していると歯周病が進行したり歯が削れてしまったり知覚過敏の症状が出たりします。
~治療法~
※起床時は意識して歯を離して下さい。
※離す量は0.5~2mm程度。
※寝ている時の咬みしめは止められないので歯が削れないようマウスピースの使用をお勧めします。
次に舌に歯形が付くことに関してですが、舌が大きい場合と舌を歯に押し付けている場合が考えられます。
舌が大きい場合は経過観察ですが、舌を歯に押し付けている場合は、
・普段の舌の位置
・嚥下(物を飲み込むこと)時の舌の位置
が問題であることが考えられます。
~舌の正しい置き位置とは?~
舌尖(舌の先端)→切歯乳頭と言う上の前歯の後ろにある出っ張りに位置しています。
舌背(舌尖より後ろの部分)→口蓋(上アゴ)についている状態が正しいとされています。
なぜこの位置バランスがいいかと言うと、舌と頬の粘膜のバランスのとれたところで歯列は安定するからです。
もしバランスが崩れると歯列不正(すきっ歯やガタガタの歯並び)になってしまいます。
歯列不正になると歯周病や虫歯の原因にもなりやすいのです。
また、モノを飲み込む嚥下時に舌の位置が良くない場合、歯と歯の間から舌尖が見えます。これを乳児様嚥下と言います。
赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲むときはこの様に嚥下するのが正しいのですが、
その時期を過ぎてもこの様な嚥下の仕方をするのは問題があります。
起こりうることとしては、上記の様な歯列不正や開咬(奥歯が咬んでいるときに前歯が咬まない状態)が考えられます。
治療法としては普段も嚥下時も同じで意識して舌を位置付けるしかありません。
舌は全体が筋肉なのでしっかりトレーニングすると必ずできるようになります。
咬みしめや舌の位置を良くすることでお口の中の健康はかなり変わります。
装着などの特別な費用がかからず(マウスピース以外)ご自身の意識改革で改善可能なので、
是非お家にいる機会が多い今のタイミングで初めてみてはいかがでしょうか!
ご不明な点がございましたらしおばら歯科医院スタッフまでお申し出下さい。
歯ぎしりによって起こる事~マウスピースが歯を守ってくれる~
虫歯はないと言われてるのに歯がしみたり、食事をすると痛くなったりすると不安ですよね。もしかして、それは歯ぎしりかもしれません。
歯ぎしりとは睡眠中に無意識下で行われる癖のようなものです。
歯ぎしりが強いと歯やその周囲組織、顎関節などに大きい負担をかけ、果ては知覚過敏、歯の動揺、顎の違和感が出ることがあります。
放置しておくと歯が割れてしまったり、顎関節症になることもあります。
歯ぎしりの原因はストレスなど様々で、はっきりとしたことはわかっていないため、マウスピースを使って歯を守ることが多いです。
このページではこのマウスピース治療のメカニズムと使い方を説明します。ぜひ、参考にしてください。
~歯ぎしりで起こる八つの症状~
①歯が削れてしまう
歯ぎしりによって歯の噛む面が削れ、歯が短くなっていきます。
それにより歯がしみるようになり、知覚過敏がおこります。歯ぎしりは寝ている無意識化で40~90分強い力で歯を削り、歯質表面が神経に近づいて知覚過敏を起こします。
人によっては神経が出てしまうまで、歯が削れてしまう症例の方もいます。
②歯の支えである骨が痩せる
歯ぎしりによって歯が揺さぶられ、支えている骨が吸収してしまい、歯周病になりやすくます。
そして、骨や歯ぐきにおおわれていた歯の根っこの部分が露出する事によって知覚過敏になってしみるようにもなります。
③歯が噛むと痛い、違和感がでてくる
歯ぎしりによって歯が揺さぶられる、噛んだときに痛みや違和感を感じるようになります。
歯には歯根膜という組織が根っこの周囲にあり、噛んだ時の感覚を感知判断する膜があります。
歯ぎしりによってこの歯根膜に強い力がかかり、噛んだ時の痛みとして感じます。
④詰め物が取れたり、割れたりする
強い歯ぎしりによって硬い詰め物でも取れたり、割れたりする事があります。
⑤歯が破折する
歯ぎしりにより歯の表面がかけたり、根元まで割れてしまうことがあります。
神経のない歯や年齢が経っている歯は歯質自体が弱くなり、割れやすくなっています。
強い力が加わわることにより、噛む度に亀裂が広がり痛み等が現れます。
⑥顎関節が痛くなる
歯ぎしりによる強い咬合力により顎の関節が強く圧迫されて痛くなることがあります。
顎関節は顎と頭の骨をつなげている関節で、その関節の間には関節円盤という軟骨のようなものがが存在します。
この関節円盤は顎を開閉するのにスムーズに動かす機能がありますが、歯ぎしりにより関節円盤が圧され、位置がずれたり、
形を変形させたりして顎の運動がうまくいかなくなり、動かすことができなくなります。
それによって顎関節症になり顎が痛くなったり、音がなったり、顎が開きにくくなったりします。
⑦肩コリがおこる
歯ぎしりによって力がかかる事により筋肉が緊張し、肩こりが出ます。
歯ぎしりをしている間は無意識に強い力で噛み締めます。その時、咬合をするために筋肉は肩や首、頭の方まで繋がっています。
その筋肉が、力がかかりすぎることにより緊張し、肩や首筋が凝ったりします。
⑧偏頭痛が起こる
歯ぎしりによって偏頭痛を起こすことがあります。
咬む力が過剰にかかっている歯ぎしりのとき動く筋肉の中には顎から頭の横まで繋がっている筋肉(側頭筋)があり、
その側頭筋が歯ぎしりによって緊張し、側頭筋痛が偏頭痛として現れます。
~マウスピースの作用~
①歯や歯ぐきを歯ぎしりの過剰な力から守る
マウスピースは歯ぎしりから歯や歯ぐきに伝わる力を緩和し、歯やその周囲に過剰な力が加わらないようにします。
成人の咬合力は60kgに及びそれが毎日1時間近く歯や歯ぐきに加わり、歯が削れたり、ゆれたりしはじめたりします。場合によっては歯が割れることもあります。
しかし、この咬合力をマウスピースを使うことによって分散緩和し、歯や歯ぐきを守ってくれます。
②顎関節を歯ぎしりの過剰な力から守る
上述した通り、顎関節には関節円盤という軟骨があり、それがある事により顎がスムーズに動くことで顎の関節が動きます。
歯ぎしりにより顎関節に強い力がかかり続けるとこの関節円盤が変形したり、位置がずれたりして、痛みや音が鳴るようになります。これが顎関節症です。
マウスピースをお口の中に入れると、簡単に言えば歯と歯の間にマウスピース分のあごの関節にすき間が出来ます。
このすき間ができることにより、関節円盤の位置の修正や、関節自体にかかる負担を減らすことが出来ます。
③歯ぎしりによる筋肉の緊張を和らげる
歯ぎしりの時には咬む力を連動させるため、様々な口の周りだけでなく肩や頭などにも筋肉が広がっていて、この筋肉の緊張によって肩こりや偏頭痛が起こります。
無意識のうちに毎日1時間近く筋肉が緊張した状態が続き、筋肉が緊張した状態が続けば疲労がたまります。
マウスピースをお口の中に入れることによって、力の入りにくい位置に変わり、筋緊張を緩和し、肩こりや偏頭痛をかるくします。
~マウスピースの作り方(保険診療範囲内)~
④2週間ほど使用し、痛いところや違和感が強いところを見て、マウスガードを調整します。
マウスピースは壊れないようにケースに入れておきます。なくしてしまったり、捨てられてしまうと、保険診療では半年以上たたなけれは作り直すことができません。大切に使用してください。
~まとめ~
原因はストレスとも言われますが、様々な理由があり、それが重複するとはっきりとしたことはわかりません。
そのため現在ではマウスピースによって歯や歯ぐきを歯ぎしりの力から守る方法が選ばれています。歯ぎしりでお悩みの方は歯医者で一度相談してみてはいかがでしょうか。
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