歯科治療における保険適用の場合、使える歯科材料というのは決まっています。
前歯は見える表側は白いレジン(強化プラスチック)で作られますが、臼歯部の場合、金属の被せ物しか選択肢がありませんでした。
しかし、近年保険改定が行われ、小臼歯と大臼歯の一部に白い被せ物が選べるようになりました。
それがCAD/CAMです。
~CAD/CAM冠~
このあまり聞きなれないCAD/CAM冠とは、保険適用の白い被せ物です。金属材料を一切使っておりません。
プラスチック素材であるレジンとセラミック(陶器素材)を混ぜた混合素材です。
小臼歯(前から4番目5番目)は笑ったときに目立つ部位でもあります。
今迄はこの部分が銀歯であることにコンプレックスを感じることもあるでしょう。
保険外の自費診療なら、部位に限らず白く美しい歯にすることができますが、そのぶん費用が高くなってしまいます。
その点CAD/CAM冠は、「保険適用で白い被せ物を手に入れることができる」という大きなメリットを持ち合わせているのです。
また金属を一切使わないため、
※金属アレルギーの心配がない
※他金属によって歯ぐきが黒ずむ「メタルタトゥー」が起こらない
などのメリットもあります。
反対にCAD/CAM冠のデメリットは、適用できる部位が限られることです。
そしてレジンが使われているため年数が経つと変色しやすいこと、強度がそこまで強くなく、割れやすいこと等が挙げられます。
~CAD/CAM冠の適用部位について~
審美的なメリットが大きいCAD/CAM冠ですが、適用部位は
①小臼歯
②条件付で下顎の第一大臼歯
のみとなります。
大臼歯の場合、上顎大臼歯および下顎第二大臼歯には保険適用となりません。
保険で安く修復したい場合は、銀歯になります。
また、下顎第一大臼歯の場合も、細かな条件がクリアされた場合のみ適用となります。
詳細はかかりつけの歯科医院に聞いてみましょう。
かつ歯質の残存具合、根状態、残存歯の数によっては、小臼歯でも銀歯のほうが適しているケースもあります。
そのためCAD/CAM冠の適用は歯科医師の判断によります。
というのも、CAD/CAM冠は若干強度に不安があるためです。
特に第一大臼歯にCAD/CAM冠を使用する場合、歯質がたくさん残っていることが重要です。
第一大臼歯は、咬合において非常に大切な役割を持っており、強度が必要となります。
しかしCAD/CAM冠は強度の高いセラミックが混ざっているとはいえ、強度の弱いレジンの成分が含まれているため、強度に不安が残るのです。
そのため歯質が少ない場合などは、CAD/CAM冠による修復治療は困難と考えられます。
~経年劣化とプラークの付きやすさが欠点~
適用部位以外に気をつけなければいけないことは、
※経年劣化による変色
※プラークの付きやすさです。
レジンは年数が経つにつれて汚れを吸収し、何年も使っていると変色してしまいます。
またセラミック含有とはいえ、オールセラミックと比べると表面がややザラついており粗造です。
そのためプラークがつきやすく、二次カリエスのリスクを持ち合わせています。
しかし審美性に優れており、金属アレルギーなどの心配もないため、
歯質の残り具合によっては小臼歯にはおすすめの素材といえるでしょう。
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