~お口の中に存在する口腔内細菌~
ついに2017年も最後の日になりました。
大晦日、皆さまいかがおすごしでしょうか?
大晦日は皆さん夜遅くまで起きている方々もおおいと思います。
そんな時もお口のケアは欠かさずにいたいですね。
さて、今回のテーマはお口の中の最近です。
口腔内には500~700種の細菌がいます。
歯をよく磨く人でも1000~2000億個。
よく歯を磨けていない人では4000~6000億個程度といわれています。
さらにほとんど歯を磨かない人では1兆もの細菌が存在すると言われているんです。
この口腔常在菌と言われる細菌の中には歯を失う原因となってしまう悪い細菌も多々存在します。
この細菌達は、お口が健康な状態であっても必ず存在する細菌なのです。
歯周病治療を行ったとしてもこの細菌数が「ゼロ」になることはできません。
しかし、これを極力、数を減らすこと、歯周病活動を抑えたりする事により、再発を少なくすることにつながります。
それが「歯周病治療」いわば、「歯科予防」なのです。
~口腔内細菌の大別は主に2つ!~
①好気性菌(こうきせいきん)・・酸素が存在する部分でのみ生きることが可能な細菌
②嫌気性菌(けんきせいきん)・・酸素が存在する部分では生きるのが困難な細菌
好気性菌は、歯周病の原因にはなりにくいので、口の中で繁殖しても、あまり心配はいりません。
歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの溝の中には、酸素濃度は1%以下しかありません。(因みに空気中の酸素濃度は21%です。)
歯周ポケットは、酸素が嫌いな「嫌気性菌」にとっては格好の住み心地が良い場所なのです。
歯周ポケット内のプラークに生息する細菌のほとんどは、嫌気性菌であり、この嫌気性菌が歯周病の原因となります。
~代表的な3種類の嫌気性菌~
※Pg 菌 : ポルフィロモナス ジンジバリス菌
※Tf 菌: タネレーラ フォーサイシア菌
※Td 菌 : トレポネーマ デンティコーラ菌
名前だけ並べられても、何がなんだかわかりませんね。
ただ、この3つの代表的な嫌気性菌が主に歯周病を進行させていきます。
~この中の代表格!Pg菌~
Pg菌は、「慢性歯周炎」の原因菌で、軽度、重度問わず、歯周病のお口の中から高頻度に検出されます。
また、Pg菌の出す毒素は、骨を溶かす作用に加え、口臭の主な原因とも言われています。
~感染ルートはどこから?~
出産前のお腹の中にいる赤ちゃんは、おなかの中で無菌状態で成長します。
この時点ではお口の中含め、どこにも細菌はいません。
産後、口腔内細菌は家族(主にお母さん)からの感染で定着していく事が多いのです。
なので、家族の方の口腔内に虫歯、歯周病の原因菌が多いと、お子さんはとても虫歯になりやすくなります。
「なんでうちの子は虫歯になりやすいのだろう?」
「こんなに定期健診しっかりやってるのに虫歯になんでなるの?」
そう思っていらっしゃる親御さんも多いのは事実です。
お子さんのお口の中だけに関心が行ってしまうのもとてもわかります。
ただ、これを読んでいただけた親御さんに思い当たる節がございましたら、自分の口腔内ケア、口腔内メンテナンスを少し振り返ってみてください。
自分のお口の中は本当に大丈夫ですか?
また、口の中の悪い細菌には、全身疾患を引き起こすものも含まれていて、免疫力の低下とともに増殖し、全身疾患につながるなんてこともあります。
様々な病気のリスクを減らすため、お口のケアをしっかり行い、清潔に保つことが何より大切なのです!
~他の代表的な菌類~
※カンジダアルビカンス
歯垢(プラーク)の中には沢山のカビも存在します。
知らない方は驚くかもしれませんね。
その代表的なのがカンジダというカビです。
これは真菌(カビの仲間)と呼ばれる常在菌なので通常生息していても問題ないですが、
数が多くなり、免疫が下がると、口腔内や全身へも悪い影響を及ぼす可能性もあると言われています。
※歯肉アメーバ
これは古くから存在する原虫という虫の仲間なのです。
口の中以外にも、様々な場所に存在しています。
重度の歯周病患者さんの口腔内に増殖する傾向があり、悪い最近などと戦う白血球をたくさん食べてしまうそうです。
※トレポネーマ デンテイコーラ(スピロヘータ)
位相差顕微鏡と呼ばれる特別な顕微鏡で見ているととにかく動きが早く、これがいると他の細菌類も増えやすく、状態が悪い口腔内に存在する指標となる最近の一つです。
治療後もこの細菌の割合が高いと再発が早いとされます。
なので、この細菌の水準が治療効果の目安にもなっています。
※ミュータンス菌
これが主に虫歯の原因となる細菌、「虫歯菌」と呼ばれるものです。
~まとめ~
①歯垢(プラーク)とは単なる磨き残しや食べカスとは違い、細菌の塊であること。
②お口の中の細菌ぼ知識を知ることで、歯周病・虫歯予防のために歯磨きに対する意識を高め、持ってもらいたい。
③患者さんご自身で完璧なメインテナンスはできません、定期健診などでメンテナンスクリーニングはしっかり行いましょう。
しっかりとした正しい知識を身につけ、ご自身含め、ご家族とともに2018年も歯周病、虫歯のない口腔内を目指しましょう!
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