~虫歯が無いのに歯が痛い!三叉神経痛、その原因と治療 ~
虫歯ではないのに歯が痛い・・・。
そんな不思議な症状に悩む方々はいませんでしょうか。
色々な歯医者に行っても原因がわからない。
もしかすると、それは「三叉神経痛」による症状が原因かもしれません。
この言葉は、中々聞き覚えのない方もいらっしゃるかと思います。
実はこの症状、「三叉神経」という神経の位置が関係する事により歯に大きな影響を及ぼしてしまうことがあるのです。
そのため虫歯がないのに歯に疼痛を感じる。この「三叉神経痛」の疑いも出てくることがあります。
よって今回は、歯科治療に関わりの大きい「三叉神経痛」についてです。
この「三叉神経」というものについてご紹介したいと思います。
~三叉神経痛~
虫歯は無いのに歯が痛い場合、
○歯ぎしり、食いしばりにより歯に大きすぎる荷重がかかっている
○知覚過敏
など様々な原因が考えられます。
しかし「三叉神経痛」は、これらの症状とは痛みや特徴が大きく異なり、原因も別のところにあります。
また
○虫歯
○歯周病
○歯の負担
○知覚過敏
といったあらゆる疑いが除外されるようなケースは「三叉神経痛」による歯の痛みという診断にたどり着くケースがあります。
ではこの「三叉神経痛」とは具体的にどういった症状なのでしょうか。
①「三叉神経」とは
まず「三叉神経」というものはどのような神経なのかをご紹介します。
「三叉神経」は、脳から顔に下りてくるようにして波及するとても重要な神経であり、顔の左右側頭部(顔の横側)にそれぞれ存在します。
その神経が司るものは痛覚、触覚、冷覚・温覚、などの「知覚」全てであり、顔に痛みを感じたり、皮膚に触った時の感触や冷たさ、温かさなどを感じたりする器官なのです。
つまり顔の皮膚で感じ取るものすべては「三叉神経」の働きで感じているものです。
また「三叉神経」の末端が口の周囲、下顎まで波及しいることから、舌や口を動かすことができるのは、脳からの指示が「三叉神経」を伝達して行われているためと言われています。
よって口を動かして食べ物を咀嚼したり、舌を大きく動かしたりできるのも、「三叉神経」を通して脳から指示を送っているためなのです。
このように「三叉神経」は多くの神経系のなかでも顔の重要な器官を担っています。
②「三叉神経痛」の症状について
「三叉神経痛」とは前述通り、顔の中を通る「三叉神経」という神経が異常な痛みを生じる症状を指します。
その痛みの感じ方は特徴的なものであり、痛みが何分も続いたり(持続性疼痛)、また疼いたり、何もしていないのに突然痛いと感じることなどはありません。
では、どのような痛みなのでしょう?
三叉神経痛は歯を動かしたり、冷たい物を食べたりすると一瞬、強い痛みが走り疼痛が数秒間続いたりします。
この他も顔のどこかしらに触れることで、痛みが走ることがある。
顔を洗ったり鼻をかんだりすると電気が発したようなビリビリする痛みを感じる。
などが特徴的な症状です。
このように口の周囲を触ったり、歯を動かしたりすることで痛みが出るため、「三叉神経痛」を歯痛と誤認してしまう方がとても多いのです。
③三叉神経痛と歯の痛みの違い
虫歯や歯周病といった歯自体の痛みの場合、ズキズキ、もしくはうずうずとした鈍い痛みが数分間、一定以上続きます。
また抜歯後の疼痛とも区別することができ、何もしていない状態でもズキズキ、あるいはうずくような痛みを感じる場合、抜歯をした傷口から出ている痛みと判断できます。
さらに抜歯した場所に何らかの処置をしたことで症状が落ち着けば、抜歯をしたところの傷口が痛いということを断定することが出来ます。
対して「三叉神経痛」の場合、瞬間的な強い痛みを感じそれが数秒程度続き、その後何もなかったかのように痛みは引いてしまいます。
しかし忘れた頃になると、何かの動作をしたことでふたたび強い痛みが走ります。
また季節などによって痛みが変化することもこの症状の特徴であり、ある日突然痛みが落ち着いたり、あるいは逆に痛みがひどくなったりします。
歯の痛みの場合、季節の変化によって痛みに変化はあまりなく、痛み止めでコントロールすることもできます。
「三叉神経痛」の場合でも痛み止めを服用するとある程度痛みの症状を緩和させることができます。ですが、薬が切れるとふたたび同じ症状が繰り返されます。
このように「三叉神経痛」にはそれとわかる特徴的な症状がいくつかあり、自分で痛みを観察して医師に説明し、早く診断をすることができます。
~歯科治療における三叉神経痛の診断および治療~
「三叉神経痛」は歯に原因があるわけではなく、脳の異常、もしくは血管、神経の状態に問題がある場合などに発症します。
そのため歯の治療をしても症状が変わらないことがほとんどであり、歯科では原因不明とされてしまい、その結果、抜歯することになってしまうことも多くなってしまいます。
しかしそれでも同じ症状が続くと、そこで歯による痛みではないと判断することができるため、「三叉神経痛」と区別するためには抜歯が必要になることもあるのです。
また最近は、インプラント治療を行ったあとに「三叉神経痛」が出るケースが多くなっているようです。
「三叉神経」の末端のひとつは下顎につながっているため、下顎にインプラントを入れたことで「三叉神経痛」が出てしまう可能性は否定できません。
しかしこの時、
インプラントに対する過剰な負荷
インプラント周囲の炎症(インプラント周囲炎)
などに対して、適切な処置をして症状が改善されれば「三叉神経痛」ではないと判断できます。
また先程前述したした「三叉神経痛特有の痛み」を観察することで、患者様自身で「三叉神経痛」の疑いがあることに気づくこともできるはずです。
そしてもし「三叉神経痛」の疑いが強い場合は、大学病院のように大きな病院に症状の相談するようにしましょう。
「三叉神経痛」はMRI検査が有効的であり、脳に異常がないか確認できるとともに、神経の状態も確認することができます。
それにより異常が発見されれば、「三叉神経痛」の原因を特定し確定診断に至ります。
また、ある薬を服用することで「三叉神経痛」と判断できる場合もあります。
それは「カルバマゼピン」という薬です。
てんかんの薬として処方されることがある内服薬です。
この薬は「三叉神経痛」にも有効であるため、これを服用して症状に変化があらわれれば「三叉神経痛」である可能性が高くなります。
このように歯科治療で根本的解決に至ることができない疼痛には、MRIがある大きな病院や原因不明の痛みに対処できる「ペインクリニック」などに相談するようにしましょう。
~悩まずに冷静に相談~
食べ物を噛んだり冷たい物を食べたりして歯が痛いと感じた場合、多くの方が虫歯といった歯の異常と思われることでしょう。
しかし歯医者では確定診断がされず、痛みも改善されぬままの状態でノイローゼになってしまう方は少なくありません。
しおばら歯科医院では、このような原因不明の痛みにお悩みの方の相談にも親切に応じてさせていただきます。
「三叉神経痛」は、その特徴的症状を見極めることがとても重要で、毎日続くその痛みに諦めてしまわずに冷静に症状を観察して医師、歯科医師に相談してください。
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