豆知識
下顎隆起とは何か?
~口の中のこぶ「下顎隆起」って何?~
「下顎隆起」というものを聞いた事はありますでしょうか?
口の中にコブ。
それが気になっている方、もしかすると「下顎隆起」なのかも知れません。
今回はその下顎隆起が生じる原因や症状、それに対して手術は必要なのかどうか、対処法までまとめました。
~そもそも下顎隆起とは?~
下顎隆起とは、下顎の骨が局所的に大きくなってしてしまう疾患を指します。
下顎の骨が部分的に活発に成長してしまう疾患とされています。
「下顎骨」と言ってもピンとこない方がおられると思いますが、下顎隆起が生じ易いのは奥歯(小・大臼歯)の内側の部分。
詳しくは前から数えて4~7番目の歯の下の方に「骨」の固い感触を舌で確かめることが出来ます。
下顎隆起は、ちょうどその部分に多く過成長した骨の「出っ張り」と考えると分かり易いと思われます。
~下顎隆起、その特徴と症状~
下顎隆起の特徴には、
①部分的に骨が肥大する
②奥歯近くの内側骨にに生じ易い
という二点があります。
「こぶ」状に大きくなる下顎隆起の部分の実際の大きさは、約2〜7cm程(症例によって差異あり)であり、歯の1〜2つ分の大きさのこぶ位のイメージすると分かり易いでしょう。
~では、実際どんな不都合があるのか?~
こぶ状の出っ張りが出来ることで疼痛が生じることはありません。最初の症状は舌で触る時などに気になる、位の程度です。
しかし、入れ歯を装着している方は注意が必要です。
歯茎に下顎隆起が生じると、「入れ歯」と「隆起部の歯茎」が擦れてしまい、痛みが生じることがあります。
また、その下顎隆起を避けて入れ歯を作成しなければいけない状態ですと、入れ歯の適合も落ちてきしまいます。
その原因で入れ歯が外れ易くなるなどの不都合も生じてしまいます。
~下顎隆起の原因とは?~
下顎隆起とは、単純に言うと良性骨腫瘍に定義されます。
簡単にいえば、「あっても害のない骨」ということです。
あくまで、”良性”腫瘍ですので、ガンなどのように命に直接的に関わる悪性の疾患とは全く異なります。
しかし、下顎隆起の原因には多説あり、
○遺伝的な要因
○過剰な歯ぎしり
など様々な説が唱えられています。
~下顎隆起は摘出したほうがいいのか?放っておいてもいいのか?~
「下顎隆起は手術した方がいいのか?」という質問を多く受けます、しかしこれに対しては一概に一辺倒な答えを出すことは出来ません。
前述の通り、下顎隆起は”良性”腫瘍です。それ自体に強い害が生じることはないのです。
ですから、「入れ歯などを装着に下顎隆起が不具合を生じさせている患者さん」を除いては、特に処置せず定期的経過観察してゆくだけというケースも少なくありません。
~入れ歯のためには手術を?~
下顎隆起は比較的に高齢者に生じやすいケースが多いです。
なので、
●入れ歯が合わない
●入れ歯と隆起部分(こぶの部分)が擦れて痛い
といった症状のために手術が必要となるケースも少なくないです。
~「話しづらい」などの場合はどうする?~
痛みの他、「話しづらくなってしまう」というのも下顎隆起の弊害の1つです。
口の中というのは、とても繊細な構造をしています。
また、舌や歯茎の神経はとても敏感で、痛みは無くとも少しでもその構造(下顎隆起など)に変化があると、
「どれだけ気になるか?」という点では、個人差はあれど見た目の変化よりもはるかにその差異を感じるものとされています。
ですので、ほんの数センチのこぶが生じただけで、凄く話しづらくなったと感じ、痛みは無くとも手術を選択する患者さんも中にはおられます。
~下顎隆起形成術とは?~
下顎隆起の除去手術は口腔外科の手術の中では比較的簡単なものと言われております。
「全身麻酔」ではなく部分的な「局所麻酔」で行なうことも十分可能です。
『下顎隆起形成術』はその名の通り、下顎の「骨隆起」を入れ歯や会話に支障がないように「形成」し「手術」するのです。
~入れ歯が下顎隆起に当たり痛いのですがどうすればいいか?~
下顎隆起の痛みが生じる原因は、主に隆起部と入れ歯が擦れてあたる事にあります。
ですから、その症状である痛みを取り除くには、「下顎隆起」、もしくは「入れ歯」の”あたり”を無くすことが治療の大前提となります。
両者の接触を無くすためには、
①入れ歯の方を削る
②骨の部分(隆起部)を削って(除去)して形を整える
この2つの考え方があります。
どちらを選択するのかは症例によって様々であり、また両者を合わせて行ない痛みが無くなるように入れ歯の調整を繰り返してゆく場合がほとんどです。
~応急処置~
○入れ歯と隆起部の接触を避ける
つまり「入れ歯を付ける時間を出来るだけ短くする」ことが効果的です。
~下顎隆起は癌にならないの?~
前述のとおり下顎隆起は癌になりません。
「良性腫瘍」の一種と考えられていますので、それが悪性化することは一般的にははありません。
しかし、「下顎隆起のようで悪性腫瘍である疾患」というものも存在します。
つまりは勘違いして「下顎隆起は悪性ではないから放っておいて大丈夫だろう」と、口の中に生じた骨ではないイボ(腫瘍)を放置しておくことは非常に危険です!
もしも、それが放置したイボが悪性であった場合、治療する時に病変が大きくなり過ぎていて、治療が困難になってしまう場合も考えられます。
下顎隆起とそれに似た悪性腫瘍との診断は専門機関によって行なわれるべきです。
もしも上記した症状(見た目、違和感、入れ歯との擦れ等)があれば、すぐに歯科医療機関を受診し、診察してもらいましょう!
~まとめ~
●下顎隆起自体は良性です。癌化する心配はありません。
●下顎隆起と間違いやすい悪性腫瘍もあります。、気になる方は医療機関を受診すること。
●入れ歯をしている方は密着間が落ちてしまうので処置が必要。手術以外にも、入れ歯調整などで改善される場合もある。
いかがでしたでしょうか?
ご自身のお口の中に何か違和感を感じるような事があれば、「下顎隆起」を一つ参考に検診を受けてみてもいいかもしれませんね。
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